ハード班が考えなければならないこと

はじめに

みなさん,こんにちは.

今年度はチームHopesで活動することになった修士2年の前川です.ハード班です.

例の流行病の影響で満足に活動ができていない状況が続いていますが,チームや各班(ソフトとかハードとか回路とか)一丸となり,ローバ開発に取り組んでいます.登校禁止期間が明けた後,スムーズな開発ができることを願わずにはいられません.

さて,今回ですが,何を書きましょうかね.この記事を読んでくださる方の中には,「ARLISSに初めて参加します!」という方もいらっしゃると思うので,「ハード班が考えなければならないこと」について書いていきましょう.

ハード班が考えなければならないこと

いわばローバの「体」の開発を担当しているハード班(ソフト班は「脳」,回路班は「神経」をそれぞれ担当していると個人的に考えています)ですが,開発の前段階,及び開発途中で考えなければならないことは山のようにあります.代表的なものを優先度順にザックリまとめると以下のようになるでしょうか

  1. 重量・全長・直径
    • ARLISSではパラシュートも含めたローバの重量を1050g,全長を240mm,直径を146mmに収めなければなりません.これは,ローバを搭載するロケットの安全性などを考慮しているためです.
    • これらの基準をクリアできなければ,そもそもロケットに載せることができないので,最優先で考えなければなりません.
    • 補強用ホットボンドのための重量も余分に考えておきましょう.
  2. 轍(わだち)抜け出し機構
    • ARLISSの舞台であるブラックロック砂漠には,大小さまざまな轍(車が通った後の溝)があります.この轍にローバがはまってしまうと,抜け出すことは困難….しっかりと対策を講じて臨まなければなりません.
    • スタビライザの形状や,タイヤのスパイクを工夫することで対策するのが,基本的な方針ですね.
    • この機構はチームの色がでる部分なので,チームごとの違いや,轍脱出率などを比較すると楽しいかと思います.
  3. パラシュート切り離し機構
    • 減速機構であるパラシュートですが,タイヤに絡まり走行不能になる可能性もあるため,着地後,ミッションを開始するよりも前に切り離す必要があります.
    • 高玉研究室では,スプリングを使用した機構を例年採用していますが,エナメル線を焼き切ったりする方法が主流ですかね.
  4. メンテナンス性
    • ARLISS期間中は,毎日ローバを分解し,故障がないことを確認.その後組み立てなおします.
    • その際,「ここのネジは締めるのが難しい」だったり「ここのネジを先に締めてしまうと,あそこのネジが締められない」なんてことがあると,手戻りが発生し,作業時間が極端に長くなるかもしれません.
    • そのため,「どこからでも組み立て始められますよ」「それぞれのパーツが独立して取り外し可能ですよ」という設計が理想的です.

…こんなところですね.ザックリまとめただけでも大量ですね….このほか,細かい点を挙げていくときりがありません(各ハード班メンバーの「こだわり」の部分になります).

もちろん,すべてがすべてうまくいくわけではありません.去年所属していたSiriusでは,マルチローバということもあり,重量問題に出国するまで悩まされていました.どこを削ることができるのか,逆にどこは絶対に削れないのかを考えながら設計していきたいですね.

おわりに

イルカと人間の脳の大きさはほぼ同じにもかかわらず,一般的に人間が持つ機能の方が高度です.これは,人間の体の構造がイルカに比べて複雑かつうまくできているからだと言われています.つまり,体の構造がうまくできているかどうかで,脳の機能の良し悪しが変わってきます.

この「体」と「脳」の関係はローバにおいても同じだなぁと思っています.ハードの機構が良くできていれば,ソフトの機能を存分に発揮できると勝手に考えています.ソフトに対する理想環境を用意できるように,設計・開発していきたいですね.

内容はここまで.最後は,去年のブラックロック砂漠で撮った写真でお別れです.それでは.